【社会福祉士】科目:地域福祉の理論と歴史についての解説【国家試験解説】
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今回は「地域福祉の理論と方法」について解説になります。
重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。
地域福祉の理論と方法の概要
社会福祉士・共通科目の5つ目の科目となるものは「地域福祉の理論と方法」となります。
こちらは名前の通り「地域福祉」に関係する理論と方法について問われることであり、具体的に下記のような内容が試験の対象となります。
- 地域福祉の理論と歴史について
- 現在行われている地域福祉の記述
- 近年の地域福祉の動向や取り組み
- 地域福祉分野における事例問題
この科目で言われている「地域福祉」とは、一言で言うのであれば「地域単位で行う福祉の方法と歴史」についてであり、個人ではなく「その地域ごと」を対象とする考え方です。
地域福祉は、言葉そのものが比較的広い言葉の意味を持っているため、なかなかイメージがし辛いこともあるかもしれませんが、問題はある程度固定的で、内容について理解しやすい人であれば、高得点も十分狙える科目になります。
地域福祉はそのイメージをつける事ができまでがやや勉強しにくい科目となります。
そこで、地域福祉とは下記のようなものであるという理解をすると、この記事の内容についても理解しやすくなるかもしれません。
・地域福祉は「地域全体で行われている福祉事業」であり、地域の中にある社会資源が代表的
・家族支援や引きこもり支援など、様々な種類の機関が共同して支援をするためにはどのような方法があるのかを考えるもの
・福祉の事業は「社会福祉法」にて規定されていて、地域福祉の実施根拠となることが多くある
・地域の福祉の中心的なものは「社会福祉協議会」であり、多くの福祉施設と繋がるハブ機関のような役割がある。
地域福祉は以上のような意味合いを全体的に持っているという前提のもと、この記事を作成させていただきます。
地域福祉の理論と方法の特徴
この科目の問題的な特徴は下記のようなものになります。
・問題数は10問と得点重要度は比較的高い
・問題の形式は「適切な設問を選ぶもの」と「事例問題」が出題される傾向にある
・近年の地域福祉の動向に合わせた時事問題が出される場合もある
・対象は地域福祉全般であり、比較的広いものの、例年似た範囲の問題が出される。
この科目も前の科目である「現代社会と福祉」と同様に配点が10点となっています。
社会福祉士・国家試験の全体の中で捉えても、配点が多い科目ですので、しっかりと押さえていきたい科目でもあります。
この科目に限らず、社会福祉士の国家試験において「配点が多い」というものは、「実際の業務で使うことが多い」や「重要性が高い」ということになるそうです(筆者の大学時代の先生のお言葉です)。
上記の話の真偽は定かではありませんが、得点のみを捉えても、配点が高い部分でしっかりと点数を獲得していくことは確実に必要になります。
この科目の特徴の中で特に重要なのは「範囲は広いが例年の問題は似た部分が出題されている」という部分です。
地域福祉の言葉の意味合いから、「この科目は相当範囲が広いのでは?」と考える方も多いかと思うのですが、それに対して問題の類似性からこの科目はかなり勉強しやすい部分であると言えます。
地域福祉の理論と方法の重要度(☆☆)
この科目は社会福祉士としての実務に直結しうる重要な内容を問われるのですが、試験としての重要度も配点から見て高めであり、「☆☆」とさせていただきます。
重要度は確かに高く、点数も取りやすいのですが、内容としては「最前線」という立ち位置であり、他の科目と絡めるときに独立していることが多くあります。
そのため重要度は一つ落としてこの評価としています。
とはいえ、この科目は実務と含めてもかなり重要性が高いのは言うまでもなく、「実際に社会福祉士になってこの科目で学んだことが活かされた」というケースもあります。
地域福祉という幅広い部分を問うため、地域福祉に携わる人にとっては重要な知識であると言えるでしょう。
またこの科目は、比較的点数も取りやすい事例問題が含まれるため、他の問題よりも勉強に取り組みやすい傾向にあります。これらの点から、相対的に見ても重要度は高めの科目になります。
・重要度は「☆☆」であり、配点も高く内容も実践的な重要科目
・問題自体が独立している傾向にあり、他の科目とやや関連付けることがしづらい傾向にある・事例問題なども出るため、勉強に取り組みやすい
地域福祉の理論と方法の難しさ(☆☆)
この科目の難易度は「☆☆」と中程度とさせていただきます。
社会福祉士の試験の中でこの科目は、難易度という部分では易しい傾向にあります。
理由としては以下のようなものが挙げられます。
・問題の傾向がはっきりしており、勉強しなければならない部分がわかりやすい
・事例問題や時事問題などがあり、難易度そのものが比較的易しい傾向にある
・極端に難しい言い回しが少なく、知識を問う問題が多い
これらの理由から、この科目は勉強の効果を発揮しやすい科目であると言えます。
その年の問題にもよるかもしれませんが、この科目は医学や心理学などの科目とかなり近い問題形式をしている傾向にあり、「知識を覚える」ということが第一に求められます。
更に覚えたものも、実践に対して使えるものであるため、学ぶ立場で変わるとはいえ、特に「働きながら社会福祉士の勉強をしている人」にとってはかなり有利が取れる科目です。
事例問題にしても「地域包括支援センター職員」や「社会福祉事務所の職員」など、地域のものがほとんどであるのに対して、ある程度基本的な考え方でも解くことができるようになっています。
とはいえ、全てにおいて易しいわけではなく、この科目の範囲は他の科目と同じ様に広いことを忘れてはいけません。
問題の傾向がある程度一貫しているのですが、そこで求められる知識量はやはり膨大であり、しっかりと要点を捉えて勉強しないと点数には繋がらない難しさがあります。
この科目はいかに、「要点を掴むことができるか」にかかっているとも言えるでしょう。
問題の特徴(☆)
この科目の問題の特徴としては「ベーシックである」ということと「事例問題や時事問題」が出るということですが、これはどちらも他の科目と近い形式であると言えます。
加えてこの科目は、「出題される問題に傾向がある」という特徴があるため、他の科目と関連付けて学習することが難しい場面があります。
もちろん、社会福祉の発展の歴史などと絡めて学習することができるのですが、地域福祉は「他の基本的な知識を下地にした科目」であるため、これ単体では活用が難しい傾向にあります。
以上を踏まえて、特徴としての評価は「☆」とさせていただきます。
何度も言われている通り、この科目の問題には一定の傾向があり、頻出している部分はかなり固定的で、具体的には下記のような範囲を問うことが多くあります。
・地域福祉の歴史と理論について
・地域課題を理解するための調査や連携の方法
・社会福祉法にて規定されている内容(地域福祉概要・役割・各地域福祉計画・福祉事業など)
・地域で行われている支援の方法(住居支援・生活困窮者支援・事例問題など)
上記は非常に簡潔にまとめているので、他にも様々な問われ方をするのですが、概ねこの科目は上のいずれから出題されています。
この科目は他の科目と比べると、「過去の歴史の流れや社会福祉法の基本」を理解しておくと、細かな部分が曖昧であっても正解できるケースが多いため、上記の内容を広く勉強することが求められます。
裏を返すと、「地域福祉の基本的な部分が安定していると不正解になりづらい」とも言えます。広く浅く勉強をすることで、得点アップを目指しましょう。
総合性(☆☆)
以上等をふまえて、この科目の総合的な評価は「☆☆」とさせていただきます。
理由をまとめると下記のようになります。
・地域福祉全般に関することを聞かれる問題であるが、傾向がはっきりして勉強しやすい
・配点は高く10点分出題される
・前提知識を要求する問題であり、より発展した勉強につなげることが難しい傾向にある
この科目の試験的な総合度を押し上げているのは、その配点の高さというところにあります。
内容そのものも大切な部分は多いのですが、他の知識が前提となるということから、初回のとっつきにくさがあるかもしれません。
しかし下地の知識があると驚くほど理解が早くなるので、勉強を重ねて得点アップ、合格へつなげる科目としては重要な科目であることは間違いありません。
地域福祉の理論と方法の勉強方法
この科目は前述の通り、基本的な知識を理解しているということが最重要になります。
更にそれを理解するための下地知識の勉強など、やや事前にかかる負担が大きいと言えます。
これ以降の専門的な福祉に関わる科目に関しては、上記の特徴を持っていることが頻発するので、「現代社会と福祉」などの科目でしっかりと流れを理解していく必要があるかと思われます。
ある程度下地が出来上がってくると、他の科目と同じように下記の流れを取ることができます。
- ①:過去問を中心に勉強を始めていき、問題の内容について理解していく
- ②:過去問から、自分の理解できていない部分や弱いところをレビューブックで知識を補完
- ③:引き続き過去問を安定した点数を取れるまで繰り返す
基本的なことは変わりませんが、基礎が大切になるので、しっかりと確認することが得点アップに繋がります。
まとめ
本日は「地域福祉の理論と方法」について解説させていただきました。
まとめると下記のようになります。
・科目の重要度 ☆☆(内容の重要度は比較的高く、配点も多い)
・科目の難易度 ☆☆(出題範囲は広いが、出題傾向がはっきりしていて勉強しやすい)
・問題の特徴 ☆(問題の形式がベーシックであるが独立的で関連付けることが難しい)
・総合性 ☆☆(配点の高さや内容から重要ではあるが内容の拡張性が乏しい)
「地域福祉の理論と方法」は内容のとっつきにくさがかなり先行する科目になるかと思います。
まずは最初の下地を整えることで、この科目は得点アップに貢献できるかと思います。
配点が高い科目なので、しっかりと対策を立てて国家試験に望みましょう。
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