【社会福祉士】科目:福祉行財政と福祉計画の解説【国家試験解説】
このページは「社会福祉士・国家試験」の各科目の解説になります。ご覧になる前に、下記の「目次ページ」をご覧いただけると幸いです。
今回は「福祉行財政と福祉計画」について解説になります。
重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。
福祉行財政と福祉計画の概要
社会福祉士・共通科目の6つ目は「福祉行財政と福祉計画」となります。
この科目で中心になってくるのは「行財政」と「福祉計画」のふたつであり、「国として福祉の運用をするうえで必要になってくる実務的なこと」を示しています。
具体的には下記のような内容が出題されます。
- 国の行う福祉の内容と財政状況について
- 市町村や地方自治体が行う福祉の内容と財政状況について
- 福祉計画の法的な事柄に関することについて
この科目はすべての科目の中でもかなりとっつきにくい内容かもしれません。
この科目で問われているものはそのほとんどが「法的なこと」と「財政的なこと」に分類されており、難易度としては極端に高いわけではありません。
配点は7点となっていて、社会福祉士の国家試験としては最もベーシックな配点となります。当然大切な点数ソースなのですが、内容の下地を重運に理解する事ができているかが大切になります。
福祉行財政と福祉計画の特徴
この科目の特徴としては、出題範囲がかなりはっきりしており、過去問においても類似した範囲が出題されています。
社会福祉士の問題は、「広い出題範囲」が一つの特徴になっているのですが、この科目は「狭い範囲ではっきりと問う場所が決まっている」という、ある意味では珍しい科目になります。
問題の特徴としては下記のようなものが挙げられます。
・問題の配点は7点と一般的な水準
・問題の特徴は記述内容に対して「適切なものを選ぶ」という形式が多い傾向にある
・問題の傾向がある程度一致しており、問われる内容の傾向がはっきりしている
・地方財政白書における記述を問う問題が出題される傾向がある
この科目の最大の特徴は「内容のとっつきにくさ」にあるかと思われます。それ以外は傾向がはっきりしていて、対策をしっかりすることで点数につながりやすい科目であると言えるでしょう。
福祉行財政と福祉計画の重要度(☆)
この科目は社会福祉士の国家試験の中では重要度という面では、他の科目と比べると一段落ちるかもしれません。
前述のとおり、この科目はかなり実践的な内容を問われるため、地域での福祉の場で働く場合はとても大切な知識になります。
しかしながら、広範囲の内容を幅広く勉強する必要がある国家試験の中では、局所的な知識は他の部分に活用することが難しく、合格に貢献するという部分で考えるとやや劣ると考えられます。
内容そのものは多くの科目において絡んでいるものであるため、この科目は他の部分の科目の勉強がしっかりできていると、必然的に点が取りやすくなります。
あくまでも、この科目そのものの学習と考えると重要度はやや下がると言えるでしょう。
福祉行財政と福祉計画の難しさ(☆☆)
この科目の難易度の評価は「☆☆」とさせていただきます。
この科目の最大の特徴は、問題そのもののとっつきにくさです。福祉的な制度問題と規定が中心となります。
内容そのもののとっつきにくさに加えて、この科目は「知識問題」が主となります。
そのためほとんどの問題が、聞かれている内容に対して正しいものを選択するという形式となるのですが、出題される問題は社会福祉士の試験の中では最もシンプルであると言えるでしょう。
問題の内容こそとっつきにくく、難しさを感じるのですが、この一問一答的な問題形式と、問題そのものの難易度も相まって、この評価としています。
前述の通り、この科目は他の分野の知識を前提に、それらの知識が「どのようにして現在運営されているのか?」ということを問題としています。
そのため、問題文に出てくる様々な福祉的な施設や用語を十分に理解していることが大前提になるため、この科目の難易度の感じ方で「基礎力」が分かることになります。
自分の勉強の到達点を理解するという意味で、この科目は重要度がかなり高いところに位置しているかもしれません。この科目の問題をシンプルと感じられる頃には、福祉に関する様々な基礎が固まってきたと言えるかもしれません。
上記のように、この科目は社会福祉士・国家試験の中ではややイレギュラーな立ち位置にあるかもしれません。
・この科目の難度は「☆☆」であり、基礎力が試される
・問題の形式は非常にシンプルで、一問一答的なものが多い
・内容は他の科目を踏襲したものを更に実践的にしたものが多い
問題の特徴(☆)
この科目の問題的な特徴は「☆」となります。
特徴としては最低評価になってしまったのですが、この科目はとにかく問題の形式が非常にシンプルという特徴があります。
下記は第36回・問題43になります。
この問題は「利用契約制度と措置制度」の観点から、適切なものを2つ選ぶというものです。
社会福祉士の試験の特徴として、「各設問の文章が長く複雑なものが多い」というものがあります。それに対して、上のように非常にシンプルな設問なものが多く、ある程度理解しやすいものが多くあります。
問題の特徴という意味では、この科目は良い意味で社会福祉士の国家試験としては変わっていると言えるかもしれません。
しかしながら、この科目は前述の通り問題文の内容をどの程度イメージできるかが点数に直結する科目になります。
この科目は具体的に下記の3つに分類分けされています。
- 国や市町村が設定する「福祉計画」に関すること
- 福祉を運営するに当たり必要な「財政」に関すること
- 福祉施設や制度をどこが行うのかという「実施主体」に関すること
この科目において出題されるのは上の3つのどれかに分類されるほど、問題の範囲としては狭いものになりますが、似通った言葉や制度名が多い上、特に「実施主体」を問う問題は設問から答えを推測することがほぼできない、完全な暗記問題となります。
このように、問題の特徴として、上記の範囲をしっかりと記憶しておく必要があります。
そのため、問題の特徴から点数アップに貢献する科目ではありません。
しっかりと対策を立てることで、点数をアップすることができる科目なので、上記3つを丁寧に勉強することで一気に点数に繋げられます。
総合性(☆☆)
この科目の総合性は「☆☆」となります。
全体的にこの科目は他の科目と比べるとかなり独自性の高い科目であると筆者は思っています。
合格につながるまでの直接的な重要性というところで考えると、この科目は明確に重要度は下がるかもしれませんが、あくまでもそれは「順番」を意識したときの話しです。
この科目の内容は、とにかく「社会福祉士として必要な前提知識がどの程度理解できているか?」という部分が基礎にあります。
問題の内容をしっかりと理解することができる頃には、必然的に他の科目の理解も進んでいるはずなので、この先の他の専門的な科目を勉強したあとに、最後の仕上げとしてこの科目を勉強することが良いでしょう。
内容そのものはしっかりと勉強して知識をつけることで対応しやすい問題が揃っているはずなので、この科目は後の解説で出てくる「社会保障」などの科目と同等の位置づけであると言えます。
福祉行財政と福祉計画の勉強方法
この科目の勉強において大切なことは方法もそうですが「順番」です。
この記事では記述している通り、この科目で提示されているものは社会福祉士として必要な知識の総集編といったところなので、下記のような内容は十分に理解していることが必要です。
・福祉において必要な福祉計画の概要
・児童や障害者、高齢者の関わる各種福祉施設について
・日本における基本的な社会保障費の内訳など
これらの知識は、これから先の科目である「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」や「社会保障」などに関連する内容になります。
そのため、この科目は勉強する順番としては最も後に回した方が良い科目であると言えるでしょう。
他の科目にて丁寧に基礎を固めたうえで、初めてスタート地点に立つことができるといえるでしょう。
そこまでになれば、この記事に記述したように「福祉計画」や「財政」、「実施主体」などの知識を積み上げていくことができるようになります。
知識のインプットができるようになってくれば、今までのように下記のような流れをくむことができます。
①:過去問を中心に勉強を始めていき、問題の内容について理解していく
②:過去問から、自分の理解できていない部分や弱いところをレビューブックで知識を補完
③:引き続き過去問を安定した点数を取れるまで繰り返す
上記の流れは、社会福祉士の国家試験で最後まで使えるものとなるので、しっかりと繰り返しましょう。
まとめ
今回は「福祉行財政と福祉計画」についての解説でした。
各部分をまとめると下記のようになります。
・科目の重要度 ☆(内容そのものの重要性は高いが、基礎力を前提にした科目であり重要度は落ちる)
・科目の難易度 ☆☆(基礎知識が前提となる問題であるが、出題範囲・出題傾向がはっきりしていて勉強しやすい)
・問題の特徴 ☆(シンプルな内容ながら、基礎知識の理解が大前提になる特徴)
・総合性 ☆☆(内容の重要性は高いものの、勉強としての順序としては最後に当たる)
今回は「福祉行財政と福祉計画」について解説させていただきました。
全体的にやや評価を下げることとなったのですが、あくまでもこの重要性の評価は、「合格をするうえでどれだけの貢献ができるのか」というところが大きいため、このような結果になりました。
この科目は内容そのものの重要性は、他の科目と比べてもかなり高い位置にあると筆者は考えております。
実践的で効果的な内容ではあるのですが、その知識の有用性に気がつくためには、ある程度の基礎知識を要求するため、最初に勉強する内容としてはやや難しく、下地が整っていない勉強し始めの状態で効果的に活かすことは難しいと言えます。
内容のとっつきにくさと問題理解に基礎力を要求する科目であるため、やや難しい科目ではあるのですが、内容は非常に大切なものなので、しっかりとした学習で点数アップに繋げましょう。
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