【福祉解説】どこに相談するのが正解なの?福祉における相談の種類について【地活職員解説】
福祉の現場では「相談」という場面に出くわすことが多々あります。社会福祉士を始め、福祉の専門職はこの相談に特化した仕事であるとも言えます。
勿論、私が勤めている地域活動支援センターでも同様に「相談」ということが多々ありますが、今回はその相談についてご説明させていただきます。
重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。
福祉における相談について
福祉における「相談」とは、日常的に使用される言葉と少しばかり意味合いが異なります。
福祉の専門職は持つべき技能として「相談援助技術」というものがあり、これは相談にやって来る人の意思を汲み取り、適切な支援を提供するために必要な技法です。
要するに、相談において重要になる技術・方法のことを指しているわけです。
このことから、対人における支援の最も基礎的なところになります。
これを応用して、福祉には「相談援助」という、人の話を聞くことで相手の状態を受け止め、福祉制度を利用することで相手の生活の質の向上を考えていく、ということを専門しています。
そのため、社会福祉士などの福祉専門職としては重要な武器になるのが、この相談援助技術であると言えます。
この相談とは一口に言っても、実はいろいろな種類があります。
代表的に福祉の現場における「相談員」と呼ばれる人々は下記のようなものがあります。
・生活相談員(支援相談員)
・介護支援専門員
・医療相談員
・相談支援専門員
・ソーシャルワーカー
・ケースワーカー
名称こそそれぞれ似通っていますが、これらの相談員はすべて違った役割や働く場所を持っています。
原則として、先程も記述していますがこれらの相談は「高齢者や障害者など、生活をする上で困りごとがある人々に対して」行われるものです。
一つずつ見ていきましょう。
・生活相談員(支援相談員)
主に介護施設や高齢者向けのデイサービスなどに配置されている相談員です。この中で、介護老人保健施設(老健)と呼ばれている施設に配置されている相談員が支援相談員と呼ばれています。
高齢者を対象にした相談全般について受けることができますが、こちらは「その職場における相談員」という、内部的な存在である場合がほとんどであり、役職名として使用される場合が多くあります。
利用者となる高齢者やその家族に対しての相談に応じる立場にあり、具体的には下記のようなことが業務内容になります。
・その施設を利用するに当たる関係機関との調整
・制度利用に関する手続き
・生活上での困りごとからのニーズ抽出
・生活全般の相談の受け口
これらが主な業務内容になります。なおこの生活相談員は、実際に現場に出て福祉サービスを提供している場合もあります。
・介護支援専門員
主に介護保険の利用に関することについて連絡や調整をする事ができる職種となり、「ケアマネージャー」とも呼ばれています。
居宅介護支援事業所などに配置されている職員であり、こちらは相談業務に加えて、介護サービスの利用に必要な「ケアプラン」の作成ができます。このケアプランはケアマネージャーが原則として作成します。
具体的な業務は下記のようになります。
・介護保険における連絡調整
・ケアプランの作成
・要介護認定の代行申請
業務として作成できるのはケアマネのみですが、利用者本人や家族が作成する事もできます。しかし基本的にはケアマネージャーを介して作成することになります。
介護保険全般に関する相談がメインとなり、主に高齢者やその家族に対しての相談が中心となります。
・医療相談員
一般にはMSW(MedicalSocialWorker)と呼ばれており、医療に関する相談全般を受け持っています。
病院の相談室(場所によって名前が違います)に配置されており、入退院の調整や、退院後の生活場所などについての相談が中心となります。
具体的な業務は下記のようになります。
・入退院時における連絡調整
・受診の際に関わる相談業務
・医師や看護師との情報共有
患者や家族の話を聞き、その人にとって必要なものを考える大切な仕事となり、医療現場という福祉とは別の専門領域との連絡調整も必要になります。
・相談支援専門員
主に障害者に対しての福祉サービズ利用の際に必要になる「サービス利用計画書」の作成が主な役割になります。
ケアマネージャーを「介護保険の相談員」とするのであれば、相談支援専門員は「障害福祉サービスの相談員」という印象に近いです。
障害福祉は特性の広さから、それぞれの施設に得意不得意が存在するので、相談支援専門員が相手の状態を聞き取り、相手にとってどの支援が最も良いかを考えて「計画」にまとめていきます。
具体的な業務は下記のとおりです。
・障害福祉サービスにおけるサービス利用計画書の作成
・各種関連機関との連携調整
・地域の障害者の相談窓口
こちらは実務経験を前提に、相談支援事業者初任者研修を修了する必要があります。また更新性となっています。
地活には併設する機能強化として相談支援専門員が配置される場合があり、筆者の所属する地活にも配置されています。
・ソーシャルワーカー
上述の相談員は「事業所と利用者」という構図での介入が多くありましたが、これを更に地域レベルまで拡大すると「ソーシャルワーカー」という呼び方に変わります。
これは、今紹介した相談員がよりほかの事業所や地域の中での働きかけをしている場合に呼ばれ、地域包括支援センターやスクールソーシャルワーカーなどもこれに該当する場合があります。
一般的に相談員は地域レベルでの連携が必要不可欠であるため、そういう意味ではすべてソーシャルワーカーになるかもしれませんが、特に地域での連携をしている人たちのことを示しています。
これは業務というよりも、下記のようなことを行っている人たちとして紹介させていただきます。
・地域における各種施設との連絡調整
・学校や教育機関との連携や情報共有
・地域内で発生する社会問題に対しての関わり
福祉の未来への展望としては、すべての福祉従事者がこのような地域連携を意識するように働きかける必要があるとも言われることがあり、全体としてその機運が高まっていると言えるでしょう。
・ケースワーカー
いわゆる役所において「生活保護」の窓口になる人たちのことをこのように呼びます。厳密にこれは、相談支援には該当しませんが、福祉の現場において、特に生活に困窮している人たちへの支援をするときは関わりの深い人たちであると言えるでしょう。
・地活での相談はどれに当たる?
さてここで、筆者が勤めている地域活動支援センター(地活)での相談についてご紹介します。
上述の分類における相談はあくまでも制度上必要になる相談が多々ありましたが、地活の場合は生活支援員と並行しているということもあり、近いとすれば「障害施設の生活相談員」になるのではないでしょうか。
勿論、地活の一つの業務として「生活相談」があるのですが、具体的には下記のようなものがあります。
・お金がなくて困った、どうしたらいい?
・〇〇制度やテレビで〇〇があるって言っていたけど、これはなに?
・体重が増えて困っている
・最近あまり眠れない
このような相談が毎日のようにきています。なおこの例は、特定の個人のものではなく頻繁に来る相談について列挙しています。
これらの相談に対して、その人ひとりずつの背景や病状を考慮して対応するのが地活の相談員及び生活支援員の業務内容になります。
・まとめ
今回は相談についてまとめていきました。福祉における相談は非常に幅広くあり、混乱することも多くあるかもしれませんが、それらはすべて「制度という法律」に則って打ち出されているものです。
福祉の制度を利用するためには、このようなハードルの高さがありますが、だからこそ相談員がいます。
疑問があれば、ぜひお近くの福祉施設に相談を入れてみるのはいかがでしょうか。
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