【障害のある人との接し方】現役福祉職員が気をつけている3つのことについて解説【地活職員体験談】
※この記事は「厚生労働省」の記事を参考に作られています。福祉サービスは自治体により内容が異なるため、実際の福祉サービスの利用の際には必ずお住まいの自治体にお問い合わせください。
地域活動支援センターでは、障害者と関わることが主な仕事内容になります。障害を持った人と接する機会は、部分的にはあるかもしれませんが、福祉の現場では日常的になり、ぐっと距離が近づきます。
地域活動支援センターについては、下記のページで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
障害を持つ人たちは、その種別によって対応や種別も異なり、「専門的な人たちに任せよう」という気持ちを抱く方も多々いるかも知れません。
しかしながら、障害者と関わる機会は存外に多いものです。また、いくら最前線で障害福祉の現場に立ち会う人も、悩みと不安に襲われながらも、少しずつ対応していくものです。
今回は地活現役職員である筆者が障害者と関わるときに気をつけていることをお話させていただきます。
重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。
・基本の関わり方について
障害は種別によって関わりにおいて注意することが変わりますが、基本的な土台は大きく変わらないと考えています。
というのも、社会福祉士のような「相談援助」について学んでいる人々や、長く人に関わる仕事をしている人は、同じようなことを気にしているのです。
それは具体的に下のようなものであることが多くあり、筆者も同じように感じています。
・相手の目を見てしっかり話す
・過度に否定的にならないようにする
・本人との約束事をしっかり守る
・相手の言葉を反復する
・まず最初に相手の気持を考える
細かな言葉の意味合いは違うかもしれませんが、私が仕事の中で関わってきた人たちは概ねこのようなことを話していますし、私も同じように感じています。
実はこれらの技法、既に相談援助の中でも有名な「バイスティックの7つの原則」というものにある程度まとめられます。
ここではざっくり触れますが、「バイスティックの7つの原則」とは、社会福祉学者であるバイスティック氏により考案された相談援助技法です。
これは、相談援助を行う際に意識する7つの項目のことで、下記のことを示します。
①:個別化
②:意図的な感情表現
③:統制された情緒的関与
④:受容的態度
⑤:非審判的態度
⑥:自己決定
⑦:秘密保持
これらは非常に基礎的なこととして、相談援助に携わる人であれば意識的に、また無意識的に行っています。
ここからは、主に「精神障害」「知的障害」「自閉症」「発達障害」を持つ方々と接する機会の多い私が普段から気をつけていることを列挙します。
共通で気をつけていること
まず最初に私が、利用者さんと接する際に気をつけていることですが、共通的なことは意外と少なかったりします。
それが以下のものです。
・過度に否定的な言葉は使わない
・意見を求められるときは「自分」と「相手」と「他の人」を分ける
・その人の「目的」をはっきりさせる
主に気をつけているのはこれらのことです。
詳しく一つずつ、記述させていただきます。
・否定的な言葉を使わない
これはバイスティックの7つの原則のなかでは「受容的態度」に含まれており、イメージも付きやすいでしょう。
これは意識している人も多いでしょう。教育的な職業にいる人は「相手のことを指導する」という部分に重きを置くことがあるので、この「過度に否定的な言葉を使わない」ということに疑問を抱く方もいるかも知れません。
しかしながら福祉の現場では、「相手の気持を受容する」という考え方が優先される場合があり、私の場合はこれを意識しています。
当然ながら福祉の専門職の中でも、受容的な態度に対しては「過剰にそうなるべきではない」とする場合があります。勿論、状況によりけりですが、私は以下のような場合以外では基本的に受容的な態度を取るようにしています。
・施設上での明らかなルール違反
・反社会的な行動
・他者への攻撃的な対応
これらに関しては、「他者に迷惑がかかること」は一律に伝えていますが、それ以外に関してはおおよそ「受容」しています。
確かに「明らかな良くない行動については受容するべきではない」と考えることもできるのですが、人は「相手からの行動矯正はほとんど無視する」ということも考える事ができます。
どちらの場合であっても、人により解釈は異なるので、ケースバイケースとしか言いようがないのですが、多くの場合「言葉で伝えて伝わるのであれば、問題的な行動はしない」と私は感じているので、受容をメインに行なって関係づくりをしています。
この受容的な態度は「自分にとってイライラするようなことでも、受容的に扱う」という部分もあり、バイスティックの7つの原則では「意図的な感情表出」も含まれているかもしれません。
・意見を求められたときに「誰のものか」分ける
これはバイスティックの7つの原則のなかで「個別化」「非審判的態度」の視点に含まれるかもしれません。
特にこれは統合失調症などを持っている精神障害の方に多いのですが、「私は〇〇と思うのですが、貴方の意見はどうですか?」という言い回しをされる方がいらっしゃいます。
そんなとき、私は必ず「私の意見では~」という言い方をします。その際には、「貴方の意見と私の意見は違っていて、大切なのは貴方の気持ちの方ですよ」ということを何度も伝えています。
これは、「貴方の意見を尊重します」ということだけではなく、「貴方の意見は別の人とは違いますよ」という個別的な言い方もしています。
これについては、今まで私が関わった人たちには「ベターな選択」として解釈されることが多くあり、精神障害を持っている人に対してはこれを徹底して行っています。
またこれは「非審判的態度」を明確に示しています。相手の意見と私の意見を分けて考えることで、「何かを判断する事はできない」ということを明示する意味もあります。
しかしながらこの方法は、知的障害の人や発達障害の人にはあまり効果を感じませんでした。
なぜなら知的の人は「そもそもこちら側の言葉が理解できない」ことがあり、発達障害の人は「自分のこだわりはそれらの外側の概念」と解釈していることがあり、受容的な態度にはなっても、個別的に相手を扱っているというわけではないかもしれません。
とは言え、「相手の意見を尊重し、明確に個別的な扱いをする」ということは非常い有用であると日々の業務から感じています。
・その人の目的をはっきりさせる
これはバイスティックの7つの原則のなかで「自己決定」の視点が含まれているかもしれません。
地活にはいろいろな人がいらっしゃいますが、「生活のために働きたい」と相談する人が沢山います。その中でも大事なこととして、「仕事をしてなにかしたいのか」ということを明確にしておくことを常々意識しています。
これは別に仕事に限ったことではありません。日常の中で生じるあらゆる「選択」のなかで、その先にある「目的」を相手に自覚してもらうということは大切な要素であると私は感じています。
自分のことは自分で決定することができる、在り来たりしれないかもしれませんが、障害を持つ人たちは「自分のことを自分で決める」という経験を欠いていることが往々にしてあります。
そのため、「自分がなんのために、その行動をするのか」ということを本人のなかでしっかり自覚させてあげるということを、私は心がけています。
共通はしていても、対応は人それぞれで変わる
私が地活にて、いろいろな障害を持つ人達と関わる上でこれらのことは大切にしているのですが、当然のこととしてこれらは「意識している」ということです。
福祉の現場では「相手のことを受容的に扱う」だけでも、「一般常識を指導的に相手に教え込む」わけでもありません。
福祉の現場において大切なのは、「対象者が自分の人生を歩いていく」ということであり、それは徹底的に相手の主観的な考え方によります。
そのため、私は上述のことを意識し、かつ「この人はどのように生きたいのか」を考えています。
まとめ
今回は障害を持つ人たちと関わる上で、地域活動支援センターの専門職員である筆者が意識していることについてまとめさせていただきました。
・否定的な言葉を使わない(受容的態度・意図的な感情表出)
・「誰の意見なのか」を明確にする(個別化・非審判的態度)
・その人の目的をはっきりさせる(自己決定)
以上、私が実際の業務にて気をつけていることでした。参考になれば幸いです。
このサイトでは、「障害福祉」に関する様々な情報を発信しています。身近な人で障害を持っている人がいる、障害を持ってしまったけれどどうしたら良いかわからない、人たちへ適切な支援につながる事ができるように、これからも適切なソースに従って記事を投稿を心がけています。
良ければ他の記事もご覧いただけると幸いです。
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