【障害福祉解説】障害を持ってしまったらどうすればいいの?最初に確認・準備しておくこと4選【現役福祉職員が解説】

2024-02-23

 ※この記事は「厚生労働省」の記事を参考に作られています。福祉サービスは自治体により内容が異なるため、実際の福祉サービスの利用の際には必ずお住まいの自治体にお問い合わせください。

 日本で生きていて、「福祉制度があってよかった」と実感しながら生きている人は、少ないでしょう。

 しかし日本は世界の中でも比較的先進的な社会福祉制度を備えています。

 ニュースでは日本社会の悪いところばかりがフォーカスされていますが、日本にも良いところはたくさんあります。

 今回はその中でも、「もし障害を持ってしまったら?」という場面を考えて、実際にそうなってしまったときにするべきことを含めてご紹介させていただきます。

この記事を書いた人
寂 あまどい

重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。

障害になってしまうことは珍しくない

 世界でも最も安全な国とされる日本でも、障害を負ってしまう可能性というものはたくさんあります。

 自分が障害を持ってしまう場合もあるでしょうし、友だちや家族がそうなってしまうこともあるかも知れません。

 具体的には下記のようなものが考えられるでしょう。

障害になってしまうケース

・病気になってしまって障害が残ってしまった(内部障害)
・交通事故等で身体に障害が残ってしまった(身体障害)
・精神的なストレスから精神疾患を発症してしまった(精神障害)
・子どもが何らかの障害を持って生まれてしまった(先天性障害)

 これらはあくまでも可能性でしかありませんが、すべての人間がそうならないとは限りません。

 特に昨今では、精神的なストレスから来る精神障害に悩まされる人も多くいるとされています。

 現代はまさにストレス社会、そんな状況では「自分が何かしらの障害を持ってしまうかも知れない」ということは、意外にありえなくはない話だと思われます。

障害を持ってしまったら?

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 障害を持ってしまうと、今までと異なる生活に混乱してしまうことでしょう。

 しかしながら、障害を持ってしまっても、日本には利用できるサービスがあります。具体的には下記のような考えられます。

障害を持ったときに使える制度

・各種障害手帳
・自立支援医療制
・障害福祉サービス
・障害年金

 これらのサービスは、生活する上で非常に有用なものになります。

 障害を持ってしまうと、とにかく生活をする上で金銭的に困難を抱えることが増えてきます。

 そのため、これらの福祉制度を利用することで、完全とは言わなくても、それまでに近い生活を送る事ができるように整えることができるかも知れません。

 障害を持ってしまったら、まずはこれらの制度をチェックするところから考えていくことが最優先です。

 ここから先は、これらの制度が具体的にどのようなものなのか、どういった制度なのかを一つずつ解説させていただきます。

1.各種障害手帳

 障害者手帳は「障害者総合支援法の対象」とみなされるために必要なもので、各自治体ごとに申請することで取得する事ができます。

 申請の手順等についてはそれぞれの場所で様式や必要なものが異なりますが、概ね診断書等で申請することができますし、個人ですることが難しい場合は障害福祉に関する相談員を介して申請することもできます。

 障害福祉手帳は、身体障害、知的障害、精神障害の3種類があり、それぞれ下記のように対応しています。

各種障害者手帳の種類

・身体障害者⇒身体障害者手帳
・知的障害者⇒療育手帳
・精神障害者⇒精神障害者手帳

 名前としては療育手帳のみが少し違った意味合いがありますが、「3種類の障害に対応して手帳を取得できる」ということが大切です。

 これらは障害を持ってしまった時に関わる福祉サービスを利用する肝になるので、障害を持ってしまったらいち早く申請しておくのが良いかも知れません。

 この手帳の交付は、申請から1ヶ月ほどの時間がかかってしまうので、早いほうが良いことは間違い有りません。

2.自立支援医療制度

 自立支援医療制度とは、公費負担医療のひとつであり、障害を持つ人の自己負担をできるだけ軽くするためのものです。

 障害を持ってしまうと、医療機関にかかる回数や頻度がどうしても多くなります。そうなってくると医療費の自己負担金額が増えてしまい、生活が圧迫されてしまいます。

 その時に役に立つのが「自立支援医療制度」です。

 これは障害によって発生する医療費の負担を軽減するためのもので、その人の所得に応じた自己負担額まで支援を受けることができます。

 下記は実際に厚生労働省にて記載されている、負担額の基準です。

厚生労働省より「自立支援医療・自立支援医療の利用者負担における基本的な枠組み

 自己負担額の基準は有りながら、これらの利用をすればある程度医療費の自己負担を軽減することができます。

 利用に際して、「同じ医療機関でしか利用できない」という制限こそありますが、それを含めても非常に有用な制度なので、利用の確認は必ずしておきましょう。

3.障害福祉サービス

 障害福祉サービスは色々なサービスがあり、その人の生活の質を高めるために色々なものがあります。

 とはいえそれらのサービスを利用するためには、色々なハードルがあり、具体的には下記のような流れを踏む必要があります。

障害福祉サービスの利用の流れ

1.サービスを受けるために「サービス受給者証」を取得する
2.実際に利用するサービス提供事業所を探す
3.サービスの利用を受ける

 これらの手順を知識なしで、しかも障害を抱えた当事者がしなくてはいけないため、その道程は厳しいと言えるかも知れません。

 また、障害福祉サービスは非常に複雑な制度でもあるので、一人で利用することは難しいと言えるでしょう。

 各自治体の障害福祉サービスの問い合わせ先に確認すれば、丁寧に対応いただけると思われますが、それでも難しい場合は、お近くの「相談支援事業所」に相談すれば、申請に関する支援をしていただけます。

 利用を考える際は、必ずそれらへ問い合わせを忘れずに。

4.障害年金

 患ってしまった障害が一定のレベル以上であれば、障害基礎年金の受給も検討の余地に入ります。

 なかなか継続して働くことができなくなることもあるかも知れませんし、生活費など様々な面で苦労することも増えてきます。

 特定の条件では失業保険等の利用もできるかも知れませんが、年金の要件は基本的に多くの人が満たすので、今回はこちらを紹介させていただきます。

 こちらの障害年金も、他のものと同じく「申請」をすることで受給できるかも知れません。勿論受給が必ずできるわけではないのですが、主治医から障害年金に付いて確認していおくことは必ずしておきましょう。

 この障害年金の受給に関しては、主治医の診断書が最も重要になり、主治医がどのように考えているかということが鍵になります。

 主治医が「障害年金の受給が適切」と考えている場合はそれだけハードルが低くなりますが、「適切ではない」と考えている人も居るはずです。

 後々のことを含めて、最初にこれは確認しておくべきであると筆者は感じています。

まとめ

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 今回は「障害を持ってしまった時にしておくべきこと」と題しまして、障害を持ってしまったときに必ず確認しておくべきこと、今後考える必要があることをまとめさせていただきました。

 再度、ここで確認事項についてまとめさせていただきます。

本日のまとめ

・自分の持ってしまった障害で各種手帳の申請が可能か?
・医療機関が確定したら負担軽減のために自立支援医療制度を利用できるか確認
・生活に合わせて障害福祉サービスを利用するか考える
・障害年金の受給の可能性について確認しておく

 このあたりの確認は、一般的な知識や障害を持つというインパクトの強さによってかき消されてしまうかもしれません。

 しかし、現代社会において整備された制度を使わないことはもったいないことになります。

 これらをしっかり活用し、それまでの生活と同じような質を保つことができるような生活を心がけましょう。

 当然これらは単独では難しいかも知れませんが、一人で全てしなくてはいけないわけではなく、申請そのものを支援するために、福祉の専門家がいるわけです。

 それら活用することで、申請してサービスを利用することは決して不可能ではありません。

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