【地域生活】障害を持った人が地域で生活するために使っている施設とは?よく使われる障害福祉サービスについて【専門職解説】
※この記事は「厚生労働省」の記事を参考に作られています。福祉サービスは自治体により内容が異なるため、実際の福祉サービスの利用の際には必ずお住まいの自治体にお問い合わせください。
このサイトでは障害を持っている人たちでも、経済的な支援や地域生活で役に立つような情報を紹介させていただきました。
今回はその中でも、「障害を持った人たちが実際に地域生活で活用している施設」についてフォーカスして紹介させていただきます。
今までの記事で紹介させていた「制度」とは異なり、今回は実際にそれらを受けることができる場所についての紹介になります。
最後までご覧いただければ幸いです。
重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。
障害者向けの地域施設について
障害者が利用できるサービスとして、「障害福祉サービス」というものがあります。
障害福祉サービスについては下記にて説明させていただいております。
ここで重要になってくるのは、「障害福祉サービス」の中で提供されている色々なサービスは、「事業所」という形で実際にサービスを受ける事ができる施設が地域にはあります。
具体的には、下記のような種類の施設が地域にはあります。
- 居宅介護系事業所(重度含む)
- 入所系事業所
(同行援護・行動援護・短期入所・入所支援・自立生活・共同生活援助) - 通所系系事業(療養介護含む)
- 自立訓練(機能・生活)
- 就労系事業所(移行・定着・A型・B型)
上記は制度の方向性と、実際に一事業所で複数のサービスが提供されていることが多いという筆者の経験からまとめさせていただきました。
障害福祉サービスには上記のなかで()に入れたように、それぞれで提供されているサービスが微妙に違っています。
とはいえその事業所ごとに提供できるサービスがある程度方向づけられているので、複数のサービスを提供している事業所もあります。
そのため、今回ではわかりやすさを重視してこのような分け方をしています。
それでは下記より、各解説をさせていただきます。
居宅介護系事業所
名前になっている居宅介護とは、日常生活における入浴や排泄、食事などの全般の介護に関する支援や相談などを示しています。
場所にもよりますが「訪問ヘルパー」などと呼ばれる場面もあります。
居宅介護とは、「自宅で生活をしていくために必要な介護を受けるため」のものであり、事業所と契約を結ぶことで、訪問をしてもらって支援を受けることができるものです。
具体的には下記のような役割があります。
・自宅での生活、介助が必要な場面
・重度の障害があり日常的に介助が必要な場面
・地域での生活が一人では難しく助言や声がけが必要な場面
この提供をしている事業所では、確かに「訪問系」としてまとまっている場面が多くあるのですが、その場所場所で得意としている支援の形は違っています。
具体的には下記のような違いがある場合が多くあります。
・メインに支援している障害対象者(身体・知的・精神など)
・障害程度の重さ(軽度の方が得意・重度も対応できるなど)
・稼働日の有無(土日祝日に開所しているかどうか)
これらの部分で差別化がなされているケースが多いようです。
もちろん、その場所場所によってかなり性質は違ってくるので、自治体レベルでの確認はなりますが、「契約によって自宅まで来て補助をしてくれる」というイメージが適切かもしれません。
入所系事業所
入所系事業所はその名の通り、「施設に入居して利用できるもの」です。
ここで言う「入居」というものは、「一時的に入居する」という意味も含めています。
障害福祉サービスについてご存じの方は、ここに「同行援護」や「行動援護」を入れているのに違和感があるかもしれませんが、これは筆者の地域では入居系の施設でこれらを提供している場所が多いため、こちらに含めています。
本来これらは「訪問系」とされており、入居系でまったくないのですが、移動に関するサービスを提供している場合もあります。
具体的には下記のようなものを受けることができます。
・地域での生活が難しく施設入居が必要な場面
・家族の支援者が不在のときに、短期的に入居する必要がある場面
・将来的に施設入居が必要な場面
これらが想定されるときに、入所系の事業所の出番となります。
入居系の事業所も他の事業所と同じように、それぞれで得意不得意が存在しており、下記のようなところで差別化しています。
・対応できる障害種別と重度にも対応しているかどうか
・入所そのものの設備(ルームシェアのようなものなのか、アパートのようなものか)
・どのような障害福祉サービスを提供しているのか
通所系事業所
通所系の事業所は、日中活動の場として障害を抱えた人が通うことができる施設です。
通所系の事業所は、「就労ができるほどではないけれど、家で過ごすのは生活レベルを下げてしまう」という状況のときに利用するものであり、特に重度の障害を持ってしまっている人が利用されることが多くあります。
今回の記事では、「生活介護」についてまとめさせていただきます。
生活介護は常時介護、もしくは重度の障害を持っており医療的ケアをはじめとする医療の力が必要な人の介護を提供している場所です。
具体的には下記のようなものを提供している場所となります。
・重度の介護を必要とする人を対象に日中活動の場を提供する
・余暇や創作活動、入浴などの居宅では難しいサービスの提供
・場所によっては通所することで医療的なケアの必要な介助の提供をするケースもある
生活介護は同じように障害を持つ人を対象としている「就労継続支援」などの通所をする施設と一見すると似ていますが、「日常生活の場」か「仕事の場」かということで全く異なります。
生活介護は仕事の場を提供する「就労継続支援」とは異なり、より介護や生活そのものの支援という意味合いが強くなります。
自立訓練
自立訓練とは「障害のある人たちが自立した生活を送るために、訓練や支援を行うサービス」です。
広い意味で世間では「リハビリ」と言われるようなものであり、身体面に対して行う「機能訓練」と、生活面におけるリハビリである「生活訓練」の2種類があります。
・機能訓練:身体機能へのリハビリテーションを行う。
・生活訓練:生活能力への訓練・能力向上を目指す。
より世間的なイメージでは機能訓練が「リハビリ」のイメージに近いのですが、実際の生活の上では生活能力や金銭管理、体調管理などの能力も必要であり、それらを支援していくものとなります。
地域での生活を行う場合の自立訓練はその多くが「生活訓練」を利用されます。
長期的に入院されていた人や、特別支援学校などで地域生活を単独で生活することが難しい人を対象としたものであり、そのような人たちが自分一人で生活をしていくことを目指すものがこれになります。
サービスの利用形態も、「通所」や「訪問」など幅広く対応している場合もあり、地域生活に対しての能力を獲得を目指す大切な支援となります。
就労系事業所
就労系事業所はその名の通り、障害者の「働く場所」を提供している場所であり、「福祉的就労」として区分されています。
就労系事業所は、実際にその場所に通所して働くことができる「就労継続支援」と、一般就労を目指して訓練を行う「就労移行支援」、実際に就職をしていこうの予後の定着を支援する「就労定着支援」に分かれています。
またその中でも、就労継続支援は、雇用契約を結ぶか否かで区分されています。
就労継続支援A型:雇用契約を行ったうえで福祉的な就労を行う。
就労継続支援B型:雇用契約を結ばずに福祉的就労を行う。
就労移行支援:一般就労・障害者雇用など福祉的な就労ではなく、一般企業に対しての就職を目指す際に支援を行う。
就労定着支援:移行支援後の就職のとき、その後の継続した仕事ができるように支援を行う。
これらの就労に関しては、下記にて解説させていただいているので、そちらも合わせてご覧いただければと思います。
障害を持つ人でも地域生活を営むことはできる?
今回の記事のまとめは下記のようになります。
- 障害を持っている人でも地域生活を進めていくことは可能な場合が多い。
- 障害福祉サービスには、地域生活で役に立つ事業所は様々ある。
- 障害福祉サービスのなかには、住居や福祉的就労など多様なものがある。
- 障害を持っていても、訓練によって就労している人もいる。
障害を持ってしまうとどうしても、「家族の手を借りなくていけない」や「どこかの施設で暮らさなくてはいけない」と考える人が多くいるかも知れません。
しかしながら、日本の障害福祉サービスには、地域生活をしていく時によく利用されている事業所が数多くあります。
そのようなサービスを利用しながら、日々の生活を送っている障害を持つ人たちもたくさんいます。
今回この記事で取り上げさせていただいたサービスはあくまでもほんの一例であり、これ以外にも障害を持った人たちを支援するような制度はたくさんあります。
この記事の参考ページは下記のとおりとなります。気になる方は、下記より詳細をご確認ください。
- 厚生労働省:「サービスの体系」より
- 厚生労働省:「障害福祉サービスの内容」より
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