【障害者団体】障害者の社会参加・権利擁護の中核となる当事者団体とは?各障害者団体について【現役専門職が解説】
障害を持っている家族がいると、どうしても「家族の世話」ということが出てきます。
障害の種類にかかわらず、家族に障害を持つ人がいる家庭というものは、非常に苦しく大変な困難がかかることがほとんどです。
時代によっては「家族に障害のある人がいるなんて周りには言えない」というように、家族の中だけで解決しようとして、家族そのものが社会から孤立してしまうケースも見られます。
しかしながら、障害福祉の分野ではそのような人たちを孤立しない、させないようにするためにいろいろな支援団体があります。
このサイトでも解説させていただいているように、障害福祉に関するいろいろな情報もまさに、それに当たります。
一般的な障害者の支援というものは、「支援者」と「利用者」という関係があるのですが、障害者には当事者たちが積極的に活動する「当事者団体」というものがあります。
当事者団体は、当人たちが活動できる社会的な団体であり、当事者の居場所づくりにもなり、更には家族の拠り所ともなるかもしれません。
今回はそんな「障害を持つ人たちの当事者団体」についてご解説・紹介させていただきます。
重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。
障害者の当事者団体とは?
障害者の当事者団体とは、文字通り実際に障害を持っている「当事者」によって運営されている団体のことを示しています。
当事者団体は、身体障害・知的障害・精神障害などを持っている人たちが中心になって運営をしているため、厚生労働省などの国に認められているというより、各々が比較的自由な活動を行う事ができている団体です。
当事者団体の最も大きな強みは、「当事者視点に立った自由さ」にあるかと思われます。
当事者団体の運営の目的は、多岐にわたるのですが、代表的なものは下記のようなものがあるかもしれません。
・障害を持つ人たちや家族への孤立化防止
・障害を持つ人の社会参加の促進や権利擁護
・障害の持つ人の生活の困難さや親なき後の生活を考慮
・障害事業所との連携や円滑な関わり
上記はあくまでも参考程度ですが、これ以外にもいろいろな目的を持つ障害者団体があります。
その中でも、障害者団体は「孤立化を防ぐ」ということにとても強い意味合いがあります。
障害を持っている人や家族は、とにかく「孤立しがち」な傾向があります。
そんな人々に一定の人間関係を築く事ができる場となる可能性があり、同じような悩みを持っていることからも、良好な人間関係ができるかもしれません。
まとめると下記のようになります。
障害当事者が運営している団体が障害者団体
身体や知的、精神を始めいろいろな障害団体がある
障害者の権利や家族の孤立化を防ぐ機能がある
どんな当事者団体がある?
障害者団体は非常に多岐にわたります。先述の通り、障害の種別だけではなく、その障害当事者団体が目指す理念や社会の実現のためにに活動しているものもおり、障害者団体は枚挙にいとまがないとも言えます。
当事者団体はその範囲が難しく、今回は代表的なものを「Wikipedia」より系統をまとめさせていただきます。
- 身体障害者に関する団体
- 精神障害に関する団体
- 知的障害に関する団体
- 発達障害に関する団体
- ジェンダーに関する団体
- 障害者の政治参加のための団体
- 障害者スポーツ、文化団体
- 障害者に関するマスメディア
- 障害当事者の雇用に関する団体
- 障害者教育に関する団体
- 社会事業に関する団体
- 地域の団体
引用:Wikipedia「障害者団体」より
今回は「Wikipedia」に分類されているものを列挙したのですが、これだけの団体があります。
上記の当事者団体は、障害者だけではなく、ジェンダーや障害者の報道など非常に幅広く、中には行政的なものもあります。
実際にこれだけの当事者団体があるため、「自分はどこに所属すれば良いのだろう?」と悩まれる方もいるかも知れませんが、種類がそれだけ多いということは、自分にある程度あった当事者団体もあるということです。
上記のリンクでは、実際にどのような団体があるのかということを調べるのに最適ですが、当事者が運営しているものが多いということから、活動内容も非常に多岐にわたります。
そのため、自分が気になったところをピンポイントで調べてみて、各機関に問い合わせてみると良いかもしれません。
当事者団体とつながるメリット
障害を持つ人たちが当事者団体とつながるということに対して、「怪しい気がする」や「他人に頼りたくない」と感じる人もいるかも知れません。
特に昔の時代は、「家族に障害があるなんてもってのほか」という考え方をされる人もおり、その感覚が抜けきれないこともあるでしょう。
それらの感性については、否定することはできません。それらの考え方もまたその人が生きてきた経験によるものですので、それに対して外からなにか言うことはできないでしょう。
しかしながら、家族に障害を持っている人がいるということは、それだけ自分の時間を作る事ができないことや、経済的に負担が大きくなってしまうのも事実でしょう。
日本では障害を持つ人に対して、「障害福祉サービス」が整備されていますが、それらを活用するためには一定の知識と情報が必要になります。
※障害福祉サービスについては下記のとおりになります。
そのうえで、障害者団体とつながる、交流を持つということは、具体的に下記のようなメリットが考えられます。
・障害福祉に関する情報を入手しやすい
・団体を通して様々な研修や知識を得ることができる
・障害福祉サービスの利用の際に、いろいろな事業所を知ることができる
・趣味や活動の場を得ることができる
・社会的な孤立を防ぎ支援者側の健康に寄与する
今回は代表的なものとして上記のものを上げていましたが、所属する障害者団体によってこれらのメリットは全く違うものがあるかもしれません。
期待通りのメリットなどはもしかしたらないかもしれませんが、どちらにしても新しい人間関係を形成するというところで非常に重要な意味合いがあるのではないでしょうか?
孤立を防ぐために
当事者の障害者団体というものは、今のところメジャーなものではないかもしれませんが、筆者は「孤立化を防ぐ」という部分では障害者団体が非常に大きな要素があると感じています。
障害を抱えている人は、多くの場合孤立しています。
特に下記のような人たちは、常に孤立の危険性があるといえるでしょう。
- 家族が長期的に引きこもりであり精神障害の診断を受けている
- 一般的な家族だったが、世帯を支える家長が身体に障害を負ってしまって生活が難しくなる
- 知的障害の子どもがいて親戚や友人関係も疎遠になってしまった
これらのリスクというものは常にあります。
そして特に、「家族に障害がある」ということは、それだけ「世間体が悪くなる」という印象が強く、自らそれを隠してしまったり、家族だけで責任を負ってしまうことがあります。
しかしながら、日本の福祉は一人でそれらを抱えるのではなく、社会全体で問題に取り組むという考え方が主流になってきています。そのため、一人で抱え込むことのないように、できるだけ孤立化を防ぐことが求められるようになっていると感じています。
まとめ
今回は「障害者団体」について紹介させていただきました。
まとめると下記のようになります。
・障害者団体には権利擁護や当事者の活動など幅広いものがある
・障害者団体は明確に定義がなく、幅広い種類のものがある
・障害者団体とつながるメリットは、当事者の社会的な孤立を始めいろいろなメリットがある
・障害を持つ当事者たちは社会的な孤立をはじめリスクが多く見られる
障害者団体にはいろいろな役割があり、メリットがあります。その中でも筆者は、「関係をつなげ孤立しない社会」を意識した内容となりました。
今回はその一つ手段として「孤立化を防ぐ」という意味で障害者団体を紹介させていただきました。勿論、それ以外にも障害者団体にはたくさんの役割があり、多くの活動が見られます。
確かにその多くのことを私たちは知りません。そのため「なんとなく怪しい」という気持ちを持ってしまうのはもしかしたら仕方がないことなのかもしれません。
けれどそこを一歩踏み出して、「知ってみる」「考えてみる」ということは、これからの社会では絶対に必要になってくるものだと筆者は感じています。
参考になられましたら幸いです。ここまでご覧いただき本当にありがとうございました。
このサイトでは、「障害福祉」に関する様々な情報を発信しています。身近な人で障害を持っている人がいる、障害を持ってしまったけれどどうしたら良いかわからない、人たちへ適切な支援につながる事ができるように、これからも適切なソースに従って記事を投稿を心がけています。
良ければ他の記事もご覧いただけると幸いです。
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