【社会福祉士】科目:現代社会と福祉についての解説【国家試験解説】

 このページは「社会福祉士・国家試験」の各科目の解説になります。ご覧になる前に、下記の「目次ページ」をご覧いただけると幸いです。

今回は「現代社会と福祉」についての解説をさせていただきます。最後までご覧いただけると幸いです。

この記事を書いた人
寂 あまどい

重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。

現代社会と福祉の概要

Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 社会福祉士・共通科目の4つ目の科目となるものは「現代社会と福祉」となります。

 この科目は、現行の社会福祉制度の元々の意味や歴史や、社会福祉そのものの歴史など、「どのようにして福祉制度が生まれ発展してきたのか?」というものを問う科目となります。

 具体的に問われる内容としては下記のようなものがあります。


  • 現在の福祉制度や社会福祉事業に関することについて
  • 日本やその他諸外国の福祉制度の歩んできた歴史について
  • 人権やノーマライゼーションなど福祉の根本的な考え方について
  • 日本における人口や社会的なリスクなど現代の福祉的問題に関することについて

 上記の内容から、なんとなく察することができるかもしれませんが、この科目は非常に広範囲を試験対象とする、社会福祉士・国家試験のなかではかなりベーシックなものとなります。

 社会福祉士として押さえておくべき歴史や源流に加えて、現在の福祉的な考え方の状態やリスクなどについて、とにかく広範囲を試験範囲とするうえ、問題数も「10問」と配点も多くあり、難易度・重要度とともに高い科目となります。

現代社会と福祉の特徴

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 この科目の最大の特徴として、「非常に幅広い試験範囲」があります。

 現代社会と福祉はその名の通り、「現代社会のこと」と「福祉についてのあらゆる出来事」を対象としており、その範囲は筆者の体感では全ての科目を通してトップクラスの試験範囲を持っています。

 以上を含めて、この科目には下記のような特徴が見られます。

現代社会の特徴

・問題の数は10問
・試験範囲が膨大であり、あらゆる科目に関係する問題が出題される
・問題の形式は用語の正誤判定が多く、事例などの問題は出題されづらい傾向にある
・現代における時事問題などが取り入れられる可能性がある
・設問それぞれが文章的で、その内容について問う傾向にある

 社会福祉士・国家試験は「時事問題」が比較的出題される傾向にあるのですが、この科目はかなりその傾向が強いと言えます。

 何より「現代社会」という、俗っぽい表現をすれば「流行り廃りのあるもの」をターゲットとしているためか、その時の社会の情勢で必要、もしくは重要視されているものが出現する傾向にあります。

 この科目の膨大な範囲に加えて、それら時事問題に対応していくことが求められる上、問題の数も多い難関となります。

現代社会と福祉の重要度(☆☆☆)

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 この科目の重要度は「☆☆☆」とさせていただきます。

 この科目は「福祉」の原点となるような考え方に加えて、それぞれの地域や国でどのような形で福祉が発展したのかを問う問題が頻出します。

 そのため、この科目は以降の福祉に関わる科目の殆どに関係があり、すべての科目の中でもとりわけ重要度が高い傾向にあるといえるでしょう。

 それに加えて、この科目の問題数は「10問」であり、他の科目の問題に対して比較的多いため、ここを落としてしまうと、すべての科目の理解レベルに関わります。

 まずは「福祉というものがどうやって誕生したのか?」や「どのようにして発展したのか」など、原点的な部分を理解したうえで、他の勉強をしていくとスムーズに進むかもしれません。

 このような部分から、最高評価の「☆☆☆」としました。

 まとめると下記のとおりです。

・「現代社会と福祉」は福祉の源流や発展の歴史について学ぶ
・他の福祉に関するあらゆる科目の源流となる可能性があり、勉強のしやすさに関わる
・問題数が多く、点数を稼いでいくことが求められる

現代社会と福祉の難しさ(☆☆☆)

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 この科目の難易度は、最高レベルの「☆☆☆」とします。

 何度も記述している通りですが、最大の特徴である「範囲の膨大さ」がネックになる傾向があり、過去問や模擬問題などを利用しても、「重複した内容が曖昧になる」ということが起こるほど、この科目は問われる部分が幅広い傾向にあります。

 膨大な範囲に加えて、この問題が「時事問題」を積極的に盛り込む科目であることが加わり、「どこから勉強して良いのかわからない」ということにもなりがちです。

 更にはこの科目は、「10問」というこれまでと比べても多い問題数であり、ここを通らずに合格は難しいという、登竜門に近い科目でもあるため、これまでの福祉に関する基礎的な理解レベルがもろに勉強のしやすさや点数に現れることになります。

 勉強するときには、下記の内容を押さえて、学習の指針を立てましょう。

・大きな柱として「現代社会のこと」と「福祉の歴史のこと」に分かれている
・福祉の成り立ちや大きな転換点になった場所を中心に学習するように配慮する
・福祉に関する最近起きた出来事については、そこから逆算して関連する部分を勉強する

問題の特徴(☆☆☆)

Mohamed HassanによるPixabayからの画像

 この科目の問題の特徴として、やはり圧倒的な試験範囲であるといえます。

 他の科目と比べると、すべての設問で別のジャンルものが問われているのがわかります。

 例として、最新の社会福祉士の試験である「第36回・問題22~問題31」までの内容について、問われている内容についてまとめてみましょう。


  • 福祉における政府と民間の役割(問題22)
  • ニューディール政策での取り組み(問題23)
  • 日本の貧困に関する記述(問題24)
  • 福祉ニーズにおける4つの類型に関する説明(問題25)
  • 団塊の世代の高齢者問題(問題26)
  • 外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ(問題27)
  • 福祉レジーム理論についての記述(問題28)
  • 所得の再分配についての記述(問題29)
  • 社会福祉法に設置根拠のある施設や機関(問題30)
  • 居住支援に関する記述(問題31)

 これらの問題の概要を見て、その幅広い問題の範囲とばらつきに気がつくかと思われます。

 この科目の「非常に広い範囲」と言われるところはまさにこれであり、幅広い部分をまんべんなく問う設問が多々見られます。

 もちろん上記の内容だけであれば、対策を立てることが難しいのですが、過去問を継続的に解いても、これらの問題の傾向が見えにくいという部分で、この科目は非常に勉強がしづらいです。

 この科目の問題を取り組むうえで、考えなければならないことは「広い範囲をどこまで勉強するのか」ということです。範囲が広いのは仕方がないことなので、上記の内容をできるだけ重複して学ぶことができる内容を探る部分からスタートすると良いかもしれません。

 例えば、上記「第36回・問題22~問題31」の問題の内容は、大きな括りで言うと下記に分類できます。

問題の内容のまとめ

・福祉の発展の際に利用された理論(25・28)
・福祉を発展させた具体的な例実(23)
・日本における現状の福祉(22・30・31)
・日本において今後想定される問題や対策(24・26・27・29)

 かなり大雑把な分け方ではありますが、この科目ではこのように「一つ一つの分野を幅広く捉える」という能力が絶対的に必要になってきます。

 この科目は上記のように「過去の福祉」と「現在の福祉」を問いかけ、その上で「それではこれから起こり得る問題はどう理解するべきか?」という3つの段階に分けられる傾向にあります。

 だからこそ、一つ一つの内容を分断して理解するのではなく、範囲を数珠つなぎのように捉えて勉強することが最低限求められます。

 この考え方は、今後の科目においても必要な要素なので、ここで押さえておくとより円滑に勉強を進めることができるかもしれません。

総合性(☆☆☆)

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 この科目の最終的な総合性は「☆☆☆」とさせていただきます。

 まさかすべての評価で最高の評価にするとは筆者も考えていなかったのですが、この科目はそれだけ幅広い知識と応用力、そして基本的な勉強方法の確立に寄与しうる、とても大切な科目となります。

 科目の難しさについては前述の通りなのですが、この科目で頻発する「現状の日本における状況把握と、問題の理解」という部分は、これ以降の専門的な科目であらゆる点で必要になってきます。

 故にこの科目は、しっかりと対策を立てて、点数を取っていく必要がある科目です。

現代社会と福祉の勉強方法

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 他の科目同様、この科目でも「過去問中心」の勉強方法がおすすめです。

 流れとしては他のものとほとんど同じで、下記のような内容をしていく必要があります。

①:過去問を中心に勉強を始めていき、問題の内容について理解していく
②:過去問から、自分の理解できていない部分や弱いところをレビューブックで知識を補完
③:引き続き過去問を安定した点数を取れるまで繰り返す

 しなければならない勉強についてはある程度似ているのですが、これに加えて、この科目では「項目すべてを一つの内容として捉える」という力が必要になってきます。

 社会福祉士・国家試験の最大の特徴がこの科目と同じように「幅広い範囲」であることからも、一つ一つ覚えていくことは困難です。

 そのため、「この項目はあの項目に繋がっている」というように、地続きの勉強と意識が求められます。

 この科目より、よりその方法が必要になってくるので、ここでしっかりと押さえておくことが大切です。

 しっかり対応して、点数アップを目指しましょう。

まとめ

Mohamed HassanによるPixabayからの画像
現代社会と福祉のまとめ

・科目の重要度 ☆☆☆(内容の重要度は非常に高く、福祉全般に関わる内容)
・科目の難易度 ☆☆☆(出題範囲が非常に広く難しい)
・問題の特徴  ☆☆☆(広範囲と時事問題を含み、点数に寄与しやすい)
・総合性    ☆☆☆(得点の獲得のしやすさや今後の勉強への土台作りなどで非常に重要な科目)

 今回は社会福祉士・国家試験の「現代社会と福祉」について解説させていただきました。

 この科目は最高レベルの重要度と難易度を誇る科目ですが、配点が比較的高く、内容も重要なものになるので、しっかりとした学習が求められます。

 しっかりと対策を立てて点数アップに繋げましょう。