【社会福祉士】科目:社会理論と社会システムについての解説【国家試験対策】
このページは「社会福祉士・国家試験」の各科目の解説になります。ご覧になる前に、下記の「目次ページ」をご覧いただけると幸いです。
今回は「社会理論と社会システム」についての解説をさせていただきます。最後までご覧いただけると幸いです。
重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。
社会理論と社会システムの概要
前項の医学や心理は「個人」に関する発達や変化、療法の手段を問う問題がほとんどでしたが、この科目は「社会」や「集団」を対象とする問題群を取り扱います。
イメージが難しいかもしれませんが、具体的には下記のような問題が問われます。
- 「社会」についての基本的な考え方や理論について
- 現代社会から、社会概念が生まれた歴史や発展について
- 社会を理解するために必要な調査や国勢調査について
- 社会的な行動や個人や個人間の理論について
この科目は比較的勉強がしやすかった医学や心理と比べると、内容が非常に難しくなっており、同時に「社会福祉士・国家試験」のの中ではベーシックな難易度の問題が並びます。
社会福祉士の国家試験は、特筆して「問題の出題範囲が非常に広い」というものが一つの特徴となっています。
この科目より、その出題範囲の幅広さに驚くかもしれませんが、それでも内容については一定の傾向があり、頻出の単語を押さえておくことでぐっと勉強しやすくなります。
この科目以降のものにも言えるのですが、「出題範囲が広い代わりに、共通して出題される部分ははっきりしている」というのがこの国家試験の特徴の一つでもあるので、概要についてなんとなくイメージしつつ、どの部分が集中的に出題されているのかを考えていくことが大切になります。
社会理論と社会システムの特徴
この科目の最大の特徴として、「事例問題」がほとんどなく、知識問題にまとめられています。
この試験では多くの場面で事例問題が登場しており、状況に合わせた知識のアウトプットが求められるのですが、この科目は事例問題がほとんど出題されず、知識を問うものがほとんどです。
また問題の形式も「特定の用語についての解説」や「社会学者〇〇の理論について」などが多く、多くの面で安定した知識量が求められます。
前項2つの科目と比べると「範囲が広い上に適切な知識を要求する」という部分で難しさを感じるかと思われますが、裏を返すと「出題される部分に傾向があり、そこを集中して勉強する」というやり方が通じることとなります。
レビューブックなどを見ていただければ分かるのですが、この部分に関しての出題範囲は非常に幅広いため、すべてを網羅しようとすることは現実的ではありません。
そのため、過去問を中心に学習し出題される問題の傾向を押さえるところから始めたほうが良いでしょう。
まとめると下記のようになります。
・知識問題が中心であり、「用語解説」や「理論解説」などの問題が多い
・出題範囲は広いものの、出題される傾向はある程度固定的なことが多い
・過去問ベースの勉強方法がおすすめで、傾向を掴むことが得点アップに繋がる
社会理論と社会システムの重要度(☆☆)
この科目の重要度は「☆☆」とさせていただきます。
この科目は内容としては「社会調査」や「複数人での心理学」、「社会の基礎的な考え方」など、複数の人を扱う学問である福祉の面ではまさにベースとなる考え方が盛り込まれています。
内容そのものが比較的難しく、また範囲も格段に広いため勉強のしづらさはあるかもしれませんが、この科目の重要度は決して低くありません。
ただし、勉強の内容としてはそのまま流用できる部分が少なく、他の科目に直接活かすということを考えると、他の科目の評価よりも一段評価を下げることになりそうです。
試験としての重要性を評価するのであれば、すべての科目の中でも平均して低いかもしれませんが、この科目の考え方が重要になってくるのは実践においてです。
実務では人間関係が常に求められるので、ここでベースとなる社会の考え方を学ぶのは非常に重要です。
そんな実践的な知識が必要なこの科目ですが、点数取得という部分で視るとやや重要度は下になります。とはいえ、考え方や知識として、福祉の考えの中ではベースのものが取り入れられているため、この位置としています。
社会理論と社会システムの難しさ(☆☆☆)
この科目の難易度は最高「☆☆☆」としています。他の科目から見ても「勉強しづらい」「範囲が広い」などの話を筆者もよく聞かれた科目でした。
この科目の難しさの要因として「問題・設問どちらも理解の難しい文章」にあるかと思われます。
下記は「第35回・問題16 社会変動の理論」の問題となります。
この問題では、社会理論に関する説を提唱した人物名と、その内容についての成否を問われますが、個人名はもちろんのこと「ゲマインシャフト」や「潜在的パターン維持」、「同質的な個人から並列する機会的連帯」など、日常生活では目にすることのない単語や文章などが頻発しています。
この問題に限らず、この科目は全般的にこのような問題が多くあり、とにかく問題の理解が困難なものが複数あります。
この科目はそもそもの出題範囲が広いということは何度も記述しているのですが、それに加えてこの「日常使いしない単語や文章」が点数アップを阻みます。
これらの用語をすべて理解することができれば、正確な知識がなくても正解できる問題もあるのですが、現実的ではないので、「傾向に合わせて絞って勉強する」ということがメインになります。
また問題そのものもとっつきにくく、難しさを感じることが多くあるかもしれません。
更にこれらに加えて、この科目は「事例問題」という比較的正解しやすい問題もないので、苦手意識がある方もいるかも知れません。
これらの要素から、難易度は「☆☆☆」と最高レベルとしています。
問題の特徴(☆☆)
この科目の最大の特徴として、「知識問題」が多いということです。
これらは問題の特徴としては他の科目とははっきりと違う点であり、しっかりと「社会理論と社会システム」の対策を行っていないと全く点数が取れないという特徴があります。
この科目の問題の特徴として、具体的に下記のような内容が問われます。
・社会学に関する基本的な用語などについて
・社会及び人に関する理論全般について
・国勢調査や人口に関する調査など日本での調査の内容について
「社会理論と社会システム」の問題は内容としては、「社会学全般」に関する問題が多く出題されますが、「社会学」というものが福祉のものから少し離れた学問であるため、用語についてはかなり分かりづらいものが多くあります。
しかしながら「スティグマ」や「ラベリング理論」などはソーシャルワークの歴史の中でも学ぶことが多々あり、その原型となる理論がこの科目になります。
「難しさ」の項目でも触れているのですが、この科目はとにかく「問題文の理解」が難しい傾向にあります。問われる内容そのものの問題文に用語が多く含まれる上、それらが個別的な概念であるため、「この問題はどういうことを問われているのか?」ということが理解しづらい傾向にあります。
社会福祉士の国家試験の中では、このように「問題文が分かりづらい」ということがよくあるのですが、この科目はそれらの中でも突出して分かりづらい部類に入ります。
問題の形式そのものはベーシックですが、「初見の用語から答えを考える」という技量では、この科目が最も能力を要求すると思われます。
そのような部分で、他の科目への応用レベルは「☆☆」としています。
総合性(☆)
この科目の様々な観点から総合性を考えた場合は「☆」とさせていてただ気ます。
この科目において勉強する内容は「社会というものに対しての基本的な考え方」を学ぶこととなります。しかしながら、あくまでも合格を考えたときの重要性を考えた時、この科目は決して重要度が高いとは言えません。
もちろん、特定の科目で0点を取ってしまった場合は、不合格になってしまうため、最低限の勉強は必要ですが、この科目は他の科目と比べると、「合格」という点での重要度は下がると言えるでしょう。
確かに社会福祉士の基盤を形作る大切な科目ではあるのですが、他の科目と結びつけが弱く、独立しすぎているため、勉強をしてもなかなか点数に結びつかない傾向にあります。
上記のことから、この科目の総合点は低めの「☆」とさせていただきました。
社会理論と社会システムの勉強方法
この科目の勉強方法としておすすめなのは、やはり「過去問を中心とした勉強」です。
もちろん、レビューブックを中心に科目の範囲部分を繰り返し勉強することも大切なのですが、この科目は基盤となる「社会理論」の範囲がほかと比べてもかなり膨大です。
そのためこの科目では、「実践的な問題を中心に勉強する」というやり方がとても重要になってきます。
医学・心理の科目は比較的範囲が狭かったのに対して、ここからの科目はそれぞれの範囲が非常に幅広くなってくるので、より「問題を中心に勉強する」という方法が重要になってきます。
以上のことから、この科目からは下記のような流れの勉強をするとよいでしょう。
①:過去問を中心に勉強を始めていき、問題の内容について理解していく
②:過去問から、自分の理解できていない部分や弱いところをレビューブックで知識を補完
③:引き続き過去問を安定した点数を取れるまで繰り返す
この科目においては上記のような勉強がおすすめですが、この勉強法は社会福祉士の国家試験の最も効果的かつベーシックな勉強方法となります。
まとめ
今回は「社会理論と社会システム」について解説させていただきました。
各項目をまとめると下記のようになります。
・科目の重要度 ☆☆(内容の重要度は高いが、他の部分で活かしづらい)
・科目の難易度 ☆☆☆(出題範囲が広範囲であり、難しい用語が多くある)
・問題の特徴 ☆☆(知識問題が多く問題の形式は他の問題でも利用できる)
・総合性 ☆(基盤となる知識であるため重要であるが、全体的な重要度は低め)
この科目は福祉学の中でも基盤に近い重要な科目ですが、国家試験としての重要度はあまり高くありません。その一方で、勉強方法としてはかなりベーシックなやり方を学ぶことができるため、しっかりと押さえていくことが求められます。
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