【社会福祉士国家試験対策】過去問を使って広く使える知識を身に付けるにはどうすればいいのか?【現役専門職が解説】
社会福祉士の勉強方法
本ブログではかねてより「社会福祉士の勉強法」と題しまして、国家試験である社会福祉士の試験勉強について記事を作成しています。
本ページでは、今までの概要的な勉強方法から、より踏み込んで具体的な内容について解説させて頂きます。
なお筆者は社会福祉士と精神保健福祉士にダブル合格しており、その経験に基づく経験と、知識にて記述させていただいています。
そのため、この記事は筆者の個人的な方法になっているので、確実にすべての人に効果が出るわけではないことをご了解ください。
重度重複障害児者の生活介護事業所にて3年の生活支援員を経験後、地域活動支援センターにて社会福祉士・精神保健福祉士として勤務。発達障害・精神障害を持つ利用者との関わりが主であり、障害福祉に関しての研修も担当しながら経験を積んでいる専門職3年生。ブログを通して障害福祉に関する情報を発信している。
正しい勉強方法で合格へ
社会福祉士の国家試験は、問題の形式がやや特殊であることや、出題範囲が広いことなどいろいろな要因によって福祉系の資格の中では合格率が低い状況になります。
社会福祉士の試験概要については上記にて別ページで紹介しているので、そちらを御覧ください。
社会福祉士の試験に限らず、テスト勉強というものは「合格するための勉強方法」というものが大事になります。
しかし、社会福祉士の試験は他の試験と比べると方法の確立が難しいところがあります。そのため、今回は「正しい方法」として筆者が行ってきた方法を具体例を混ぜて、その根拠についても記述させていただきます。
試験にあった勉強法をしなくてはいけない理由
先に述べた通り社会福祉士は「問題の傾向が特殊」です。
文章そのものが長く、その文章の内容そのものが問われるということが基本的な形になるのですが、社会福祉士の問題はこれが最も厄介なポイントになります。
というのも、この社会福祉士の問題形式は、我々日本人が経験するようなテストにはなかなか出てこない形式になります。
学生時代のテストを思い起こしていただくとよく分かるのですが、日本のテストの形式は「一問一答」が基本になります。
問われていることに対して用語を問う問題や、逆に用語を解説するような問題の勉強をしてきたので、問題の形式が変わったテストをするのは意外に難しいものがあります。
更に社会福祉士の試験はその問題の長さゆえ、「読解力」がかなり試験結果に影響します。
そして「読解力」というものは基本的に勉強によって成長しづらいと言われています。付け焼き刃の勉強では、なかなか効果が実感しにくい事が多くあるようです。
まとめると、「正しい勉強」は下記のような意味合いがあります。
・社会福祉士の試験は類似した問題形式が少ない
・社会福祉士の問題は慣れているような「一問一答」ではない
・社会福祉士の試験は「読解力」が鍵になっている
これらの要因から、試験に合った勉強は必須になります。
社会福祉士の試験は「広く浅く」が大前提
社会福祉士の試験は非常に範囲が広いということは前の記事でも解説したとおりです。そのため、できるだけ勉強する範囲を絞って勉強していくことが必要です。
以前のページにてそのことについて解説させてもらっているのですが、今回は寄り具体的に「ではどこを勉強するのか」を実際の問題を見ながら考えていきます。
その前に、試験全体に言えることとしていくつかの注意点を解説させていただきます。
まずは社会福祉士の試験には、共通科目と専門科目がそれぞれ設定されているのですが、これらのすべてをしっかりと勉強するのは基本的に不可能だと考えて良いでしょう。
勿論勉強が得意でなおかつ安定して勉強を行える時間がある人はその限りではないかもしれませんが、社会福祉士の受験をする多くの人は仕事をしながら、家庭を持ちながらという人がほとんどです。
そのため必ず「要点をまとめて勉強する」ということが必要になります。同時に「範囲が広いのだから要点をまとめるのは良いことなのか」という考えもあるかと思いますが、社会福祉士の試験において「知識」はあくまでも「考える補助」であると考えたほうが良いでしょう。
基本的に文で構成されている試験であるため、問題文の中で知らない単語が複数登場することもよくあります。肝心なのはそのような問題に対しても、「ある程度問題文を理解して考える」ということが最重要項目になります。
これこそが「広く浅く勉強する」ことの最大の意味です。そもそも一問一答的な、「知識として知らなければ解くことができない」わけではなく、ある程度自由裁量が用意されている問題でもあるわけです。
そのため、正確な知識という意味では他の試験問題よりも優先度が落ちるので、そこも踏まえて考えることが大切です。
・社会福祉士の試験問題は「正確な知識」よりも「文章を理解すること」のほうが大切
・「広く浅く学ぶ」のは、試験問題で文章の意味をつかみやすくするため
・難解な問題でも幅広い知識によって解くことができる場合がある
以上を踏まえて、早速具体例を交えて考えていきましょう。
過去問を利用して実践に慣れる
社会福祉士の試験において心強い味方になるのが「過去問」です。
今はネットがあり、社会福祉士の公式ホームページでも、三年分の過去問をまとめているところもあるほどです。
言うまでもなく過去問は、それまでの社会福祉士試験において出されてものであるため、福祉の専門家として必要な知識や専門性が幅広く問われるようなものになっているので、必然的に「最も実践的な勉強方法」であると言えるでしょう。
このページではその実践的な過去問勉強を下記にまとめ、一つずつより一段高いレベルに上げるための具体的な方法をいくつか紹介していきます。
「試験が考える重要な部分」を捉える
このサイトで度々書かせていただいている「試験の中で共通している部分」と聞いて、「それってどんなものかわからない」と思われる方も多くいることでしょう。
筆者は勉強中、この共通的な部分に対してよく理解できていなかったのですが、実際に試験に合格した後になんとなくイメージすることができるようになりました。
その一方でこの感覚というものはなかなか言語化しにくいところがあるのですが、今回は多くの人が試験勉強をしやすいように、シンプルかつわかりやすく考えていきたいと思います。
まず共通的に出題されている部分を考える上で、「試験で何を問われているか」ということを正確に確認する必要があります。
具体的に下記の問題から考えていきましょう。
この問題は「思春期の身体変化」をストレートに問われているわけですが、広い範囲で考えると「成長発達過程」であると捉えることがあります。今回は問われている内容からより広く捉えた、レビューブックに沿うような捉え方をしていくことになります。
このように、「共通して出題されている部分」とは、裏を返せば「どの分野の問題を問われているか」ということでもあります。
以上を踏まえて、「試験における共通的な出来事」というものを探っていく形になります。
これが「社会福祉士の試験の最も効率的な攻略方法」と言えるでしょう。
過去問において「共通している」とはどういうことか
「試験において共通的な部分」を具体的に考えてみたわけなのですが、より踏み込んで、この共通している部分というものがどのようなものなのかを考えていきましょう。
そもそも、共通している部分というものは問われている内容だけではなく、「どの分野から出題されているのか」ということです。
先程の例は一問一答的であったため、「〇〇についての記述内容で正しいものを答えよ」というものでしたが、下記のようなものはどうでしょうか。
これは先程の例とは出題形式が全く違います。人によって呼び方はあるでしょうが、この形式を筆者は「ケース問題」と呼んでいます。
ケース問題は実際の例にかなり近いケースから、専門家としての判断や知識性が求められます。
そしてこのケース問題では、「脳梗塞における症状を問う」ものですが、より幅広く見ると「脳血管障害に関する症状」に付いて問われています。脳梗塞以外にも、脳に関わる病気は幅広くありますし、高齢者においては脳血管障害によって引き起こされる認知症もあります。
このように、出題の形式が変わって出題される場合もあります。
その場合であっても、「何を問われているのか」を一旦考え、同時に「どの分野、方面から聞かれているのか」を踏み込んで考えると、共通して出題されている場所がわかります。
過去問を見ていくとさらにこれは顕著になっていき、例としてあげた「人体構造と機能及び疾病」の分野では「高齢者の病気やその症状」などについて幅広く出題されていることがわかります。
レビューブックのあまりにも多すぎる内容は、このように「出題された分野」を絞っていくことで初めて「どこを勉強するべきか」を考えていくことが出来ます。
「すべてを網羅する」ことは不可能だと理解する
このサイトでは何度も、「社会福祉士の試験はすべてを勉強するな」としていますが、社会福祉士の試験を勉強し始めてレビューブックを買ってきた人であれば「えっ本当にこれをすべて覚えるの?」と思うことでしょう。
実際1000ページを越える量がありますし、これから先も必要なことは確実に増えていきます。
そんな中で試験に合格するためにはある程度的を絞ったやり方が絶対に必要になってきます。そのためにも、上記のように考えるヒントが必要なわけです。
特定の教科から「共通的な部分」について考えてきたわけですが、ここからは一つ踏み込んで、「試験そのものの共通的な部分」を考えていきましょう
実は全ての教科で共通するものが存在する
これまで教科のみに対しての話をしていましたが、実は全ての試験に共通して使える知識というものが存在します。
これはあくまでも「必ず出題される」というわけではなく、「すべての問題に使えるかもしれないから覚えておいた方がいい」程度のことなのですが、幅広い社会福祉士の試験の中で、ことさら色々な場所で使用できる知識が下記の教科になります。
-人体構造と機能及び疾病
広く医学分野の問題が問われるのですが、これは「保健医療サービス」や「高齢者に対する支援と介護保険制度」などで活躍する知識があります。
これは、社会福祉士における医学分野は「高齢者」に関する知識を問う問題が一定数存在するからです。
これ以外にも、「身体の成長」に関する情報も多くあり、心理学などともある程度広い範囲で使える知識もあり、優先度は高いと言えるでしょう。
-心理学理論と心理的支援
こちらも同じく広く「心理学」に関する知識を求められます。心理学に関係する知識は社会福祉士試験の全般において登場し、特に最も点が取りやすい「相談援助」に関して考える指針となります。
また、派生知識として社会的な人間関係についての理論のことを尋ねる「社会理論と社会システム」についても応用できるものもあり、こちらもしっかりと勉強しておくことで幅広く活用することが出来ます。
-現代社会と福祉
この分野は「福祉」に関する幅広い概念の問題が出てきます。人物名や、理論についても頻繁に尋ねられる難しい問題がありますが、ここの福祉の歴史は他の多くの分野で幅広く基盤として知識が求められます。
この3つはそれぞれ他の分野でも応用できる知識があります。
確かに教科で活用できる知識を揃えるのは良いことなのですが、それだけではなく幅広い知識として活用できるものをメインに勉強していくとより合格に近づくことでしょう。
「基礎知識」で分からない部分を補うやり方
ここまで共通知識についての解説をさせてもらっているのですが、どうしてここまで重要視しているのかというと、「社会福祉士の試験勉強として適切だから」ということが答えになります。
何度も述べているのですが、社会福祉士の試験は一問一答ではありません。
これが理由として最も大きく、「読解力と基礎知識で解ける問題が多い」からです。
社会福祉士の試験は非常に広範囲なのですが、その分基盤である福祉の理念や考え方は共通していることがほとんどです。
例えば「現代社会と福祉」の分野で語られている、「福祉とはなにか」や「ソーシャルワークとはなにか」という問いかけは、すべて現行日本の福祉制度の根本的な考え方になっています。
このページで記載した問題は序盤の問題なのですが、後半になるに連れて具体的な社会制度の問題が多く出てくることになります。
そこで問題として問われることの殆どは、「元となった福祉の考え方」を抑えておくことで正答率が目に見えて上がるものもあります。
肝心なのは、土壇場でそれを引き出すことができるかということです。
しっかりした考え方や基礎力、読解力がそのまま合否に直結すると言っても過言ではないでしょう。
だからこそ、共通的な部分を考えていかなくてはいけません。
まとめ
それでは今回のまとめです。社会福祉士の試験勉強に最も重要であるといっても過言ではない「共通部分」を見つけていく勉強方法でした。
・社会福祉士の試験は「読解力」と「基礎知識」が重要になる
・範囲が幅広い代わりに、勉強のやり方次第で対応することができるかもしれない
・各教科の共通部分と試験全てで使える知識を中心に勉強していく
確かにどの知識も重要なのですが、それはそれとして共通している部分を積極的に取り入れていく考え方はやはり大切です。
これらの共通的な部分をしっかり把握し、初見の問題にもある程度最良な選択をしていくということが、社会福祉士の一つの素質として求められているのかもしれません。
このサイトでは、これからも社会福祉士の試験や、それ以外にも福祉に関わるいろいろな記事を投稿していくので、これからもぜひご覧いただけると幸いです。
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